今週のイベントタイトル
今週のイベント
イベントカレンダー
マイページ
小説タイトル画像

第11話:冬 結婚編

婚活パーティーで小山町を訪れたときから、なんとなくこの町が気になっていた。

すごく田舎で買い物をする場所もご飯を食べる場所もそれほどあるわけではない。

だけど、町に流れる空気のようなものだったり、人々の温かさ、そして何より雄大な富士山、それらのものがたくさんの旅をしてきた僕にとってしっくりきていた。

旅の終着点でもあり発着点にもなりうる、そんな場所な気がした。

僕は小山町の婚活パーティーで長田さんと出会った。

彼女はパーティーを仕切る町役場の人だった。

パーティーが終わった後、小山町について色々と教えてもらった。

生活をした場合はどんなところに住むのがいいのか、飲食店は、ガソリンスタンドは、スーパーは、おすすめスポットは?

面倒見のいい長田さんは、実際に車に乗せて案内もしてくれた。小山町のことを全く知らなかったからか、まさかこんな小さな町にたくさんの魅力的なスポットがあることに驚いた。

中でも気に入ったのが足柄峠城址公園だった。

ここはデートスポットに最適で、夜は流れ星が見えることもあるそうだ。

自分の住む沼津とは違って満点の星空が見えるんだろう。まさに告白のスポットとしては最適ではないか。

婚活パーティーで知り合った奈緒という女性と連絡を取り合ったり、たまに飲みに行ったりしていた。

お互い旅行が趣味で、海外が好きなので結構気があった。

何度か会ううちに、奈緒と一緒にいるのが居心地良くて、彼女と真剣に交際したいと思うようになった。

そしてこの町で一緒に暮らしたいと思った。

その時にすぐに思い浮かんだのが足柄峠城址公園だった。

あるデートの帰りに、足柄峠城址公園で星空を見ながら告白をした。奈緒はオッケーしてくれて、僕は飛び跳ねるくらいに嬉しかった。もう三十三歳だというのに、恋愛の喜びはいつになっても変わらないらしい。

それから自分の夢が一気に現実に近づいた。

奈緒と付き合うことになったのを長田さんに言ったらすごく喜んでくれた。

これから先どうしようか、いつプロポーズしようか。そんな焦る自分に対して、長田さんは丁寧に道筋を立ててくれた。

でもどうせなら奈緒を驚かせたいなと思った。

そんなある日、奈緒から「会えないか?」とラインが入った。

いつもは自分から奈緒に約束の連絡をしていたから、奈緒からの連絡が嬉しくて、週末に入っていた予定をキャンセルして奈緒と会うことにした。

奈緒からきっとなにかサプライズがあるのだろう。それなら、僕も何かサプライズしようと思った。