今週のイベントタイトル
今週のイベント
イベントカレンダー
マイページ
小説タイトル画像

第10話:冬 結婚編

いつか家庭を持ちたいと思っていた。

出かけることが趣味で、就職をしてからは貯金をしては海外旅行をしていた。職場の同僚や、大学時代の友人たちとたくさん遊んだけれど、付き合ってくれる友人は徐々に減り、残ったのは四人。

婚期を逃したとは思っていない。でも気がつくと五年も彼氏がいなくて、現在三十二歳。友人たちはもう子どもがいるのが当たり前。

別に焦ってはいない。私の周りはなんだか婚活や合コンやバタバタしているけれど、だからといって急ぐものでもない気がする。

「奈緒も一緒に行かない?」

そんな折に会社の同僚に一枚のチラシを手渡された。

小山町で開かれる婚活パーティーのチラシだった。

「ほら、ここ見て」

三回シリーズの婚活パーティーの企画の一つが『旅行好き婚活』だった。

「私たちにぴったりじゃない?」

どうせ旅行好きの男なんてロクなのがいないんじゃないかと思ったけれど、特に断る理由もないので友人と一緒に参加することにした。

 

男性十人、女性十人の婚活パーティーだった。

小山町の職員である女性の方が仕切り、自己紹介タイムからグループで会話をするもの。そしてフリータイムと流れていった。

年齢も絞ってあったのか、男性は三十代が多く、同じような空気感を持つ人が多かった。

その中で仲良くなったのが雄大だった。

彼は学生時代にバックパッカーとしてアジア圏内を渡り歩いていた。今も長期の休みになると海外に行くそうだ。

私もオーストラリアの留学経験があり、社会人になってからアジアにも幾つか旅行に行ったことがあるので、意外にそのときは他に海外旅行好きが少なかったのか、彼と話が弾んで、気がついたらカップリングが成立していた。

お互いにラインと電話番号を交換して別れてから、さっそく彼から誘いが来た。

それから数回飲みに行ったり、ドライブに行ったりして、あるデートの帰りに小山町の足柄峠城址公園に連れて行ってもらった時に告白された。

私が照れて答えに窮していると、雄大は話題を変えた。

「ここは流星群が一番良く見える場所なんだって」

「へ、へぇ。よく知ってるね」

「東京ウォーカーに載ってた」

一人で旅行好きというと無計画に突き進むイメージがあったが、彼はわりと調べるタイプらしく、デートもまめにいろいろチェックしてくれる。

なんとなく彼となら、もしかしたら良い将来があるんじゃないか。

「さっきの話だけど……」

そんな気がして、私は告白を受け入れ、正式にカップルとなった。

 

運命というのは突然やってくるものなのだろうか。

ここまでの展開があまりに早くて、逆にこの先が不安になってしまうことがある。

そして、残念ながらその不安は確かなものになって現れてしまう。

「奈緒、私見ちゃったんだけど……」ある日、一緒に婚活パーティーに行った同僚が、険しい顔をして周りにだれもいないのに小声で話しかけてきた。

「雄大さん、他の女の人と一緒にいるのを……」

その時分浮かれていた私に、米俵が脳天を直撃したくらいのショックが襲った。