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第7話:秋 仕事編

11月24日は恋人である由梨奈の27歳の誕生日だ。あと一週間に迫っているというのにプレゼントが決まらない。誠二は彼女の誕生日を迎える前の週末にお店を転々とさまよっていた。

誠二の住む東京はもう冬の装いだ。ショーウィンドウには雪を模した装飾がなされ、その片隅に大小様々なクリスマスツリーが立ち並ぶ。ピアスをあげた、バッグをあげた、ともに過ごすのが3回目となる今回は何をあげようか。

色々思考を巡らせているも、誠二の目の端にいつも入ってくるものがあった。

透明な石のついた指輪だ。

兄は結婚をして2歳の子どもがいる。先日会ったときにもう歩けるようになっていたから驚いた。いつか自分も家庭をもつのだろうか、なんて漠然とした気持ちで兄家族を眺めていたが、結婚という二文字を前に、まだ早いのではないか、そんな資格があるのか、と逡巡してしまうのだ。

ふらっと入った宝石店で、ダイヤモンドを見た。30歳を目前にして主任という立場になった誠二には金額は問題なかった。その時、店員が声をかけてきた。

「婚約指輪ですか?」

「い、いえ。ただの誕生日プレゼントを探してて……」

「それならですね……」

誠二は恥ずかしくなってその場を立ち去ろうとしたが、店員が別の商品を勧めてきたのに応対してしまい、そのまま話が弾み、結局誕生日プレゼントに選んだのはネックレスだった。

 

由梨奈とは週末に会う約束をした。

しかし誠二は、由梨奈をもっと驚かせたいと思い、誕生日当日にサプライズで由梨奈の家に行くことに決めた。

由梨奈は静岡県の小山町に両親と暮らしている。誠二はすでに何回も由梨奈の家に遊びに行っているから両親とも顔見知りで仲も良い。こっそり母親に連絡を取り、誕生日当日に仕事が終わったら由梨奈に会いに行く旨を伝えた。

そして11月24日。仕事を終えた誠二は、誕生日ケーキとプレゼントと一緒に、車で西に向かう。東京から約1時間。果たして由梨奈はどんな顔をするのだろうか。久しぶりの高揚感に包まれながら、アクセルを強く踏み込んだ。